WordPress 6.9「Gene」でユーザーが押さえるべき新機能・テーマ変更・セキュリティ強化まとめについて解説しています。
WordPress 6.9の概要
WordPress 6.9「Gene」は、2025年最後のメジャーアップデートとしてリリースされたバージョンです。
派手な“見た目の大変化”というより、
- ブロックエディター(ブロックエディタ)の使い勝手向上
- フルサイト編集(FSE)の強化
- 新しい公式ブロックの追加
- パフォーマンスとセキュリティの底上げ
- 開発者向けAPI(Abilities APIなど)の追加
といった、“日々の運用が着実に楽になる改善”が多く含まれています。
すでにブロックエディターやブロックテーマを使いこなしているユーザーほど、恩恵を強く感じられるアップデートと言えます。
ブロック単位のコメント機能(ノート)
WordPress 6.9では、ブロックエディター上で「ノート(ブロック単位のコメント)」を付けられるようになりました。
- 各ブロックごとに「ここを修正してください」「この文言でOKですか?」といったコメントを直接残せる
- コメントはスレッド形式でやりとりでき、解決済みにすることも可能
- 投稿の著者にメール通知が届くため、修正依頼を見落としにくい
特に、
- 複数人でブログを運営している
- ライター・編集者・デザイナーなど役割分担している
といったケースでは、外部ツールなしでレビューフローを回せるようになり、作業効率が大きく向上します。
ブロックの「非表示(Hide)」機能
6.9からは、ブロックを編集画面には残したまま、公開側では「非表示」にできるようになりました。
- シーズンごとのキャンペーン告知
- 一時的に見せたくない注意書きやバナー
- 次回も再利用したいセクション
などを「削除」ではなく「非表示」にしておけるため、
- 将来また使うかもしれないブロックを残しておける
- テスト用ブロックや次期キャンペーン用のブロックを、公開前に隠して準備しておける
といった、現実的な運用にフィットしたワークフローが組みやすくなります。
ドラッグ&ドロップの操作性が向上
ブロックのドラッグ&ドロップも改善されています。
- ブロックをドラッグすると、これまでは「プレースホルダーの枠」だけが移動していました
- 6.9では、実際のブロックそのものを掴んで動かすような挙動になり、移動中も中身が見える
その結果、
- 移動先のレイアウトを目視しながら調整しやすい
- 「ここじゃなかった」というやり直しが減る
といった、細かいけれど効く改善が入っています。
テキストをコンテナ幅にフィットさせる機能
段落ブロックや見出しブロックに、テキストをコンテナ幅に収めるためのオプション(Fit text)が追加されています。
- セクションの幅いっぱいに見出しを綺麗に収めたい
- ヒーローヘッダーのキャッチコピーを、画面幅に合わせて調整したい
といった場面で、フォントサイズを手動でちまちま調整しなくても、自動で良い感じにフィットさせられます。
テーマとフルサイト編集(FSE)の変更点
新しいデフォルトテーマはなし
6.9では、新しい年次デフォルトテーマ(Twenty Twenty-Sixなど)は追加されていません。
その代わり、
- 既存のブロックテーマの機能強化
- フルサイト編集(FSE)周りの改善
- 古い互換コードの整理(IE向けコード削除など)
といった「土台のクオリティアップ」に力が注がれています。
テンプレート管理機能が大きく進化
サイトエディター(フルサイト編集)で扱うテンプレート周りが強化されました。
- 同じ種類のテンプレートを複数作成し、切り替え・無効化できる
- 例:トップページA/B どちらも保存しておき、簡単に切り替え
- テンプレートを「公開前の下書き」として保存できる
- 公開中のテンプレートに影響を与えず、次のデザイン案を準備可能
- テーマを切り替えても、ユーザーが作成したテンプレートが保持される
これにより、
- 本番サイトに影響を出さずに、新デザインをじっくり作っておきたい
- キャンペーンに合わせてテンプレートを切り替えたい
- テーマ変更時も、ゼロから作り直しにならないようにしたい
といったニーズに応えられるようになりました。
サイトエディターの「簡易編集モード」
サイトエディターには「簡易編集モード」が加わっています。
- 詳細なデザインパネル・細かい設定を一時的に隠し
- テキストや画像の差し替えなど、“中身の更新”に集中できるモード
これにより、
- 普段はコンテンツ担当の人が簡易モードでサクッと更新
- デザインをいじるときだけフル機能モードに切り替え
といった使い分けができ、チーム内での役割分担がしやすくなります。
追加された新しい公式ブロック
WordPress 6.9では、新しい公式ブロックも複数追加されています。中でもユーザーにとって使い勝手の良いものをピックアップします。
- アコーディオンブロック
→ FAQページや「もっと読む」的なコンテンツを折りたたんで表示できるブロック。
項目ごとに見出し+中身のエリアを持ち、中身には画像やリストなど他のブロックも配置可能。 - タームクエリブロック
→ カテゴリーやタグなどのタクソノミーごとに投稿一覧を表示するブロック。
「特定カテゴリーの最新記事一覧」「タグごとの記事紹介」などを柔軟に構成できます。 - 所要時間ブロック(Time to Read)
→ 記事の想定読了時間(○分で読めます)を自動表示するブロック。
長文記事でも、ユーザーに「今読むか、後で読むか」の判断材料を与えられ、滞在時間の向上に役立ちます。 - 数式ブロック(Math)
→ 数式や方程式を綺麗に表示するためのブロック。
LaTeXやMathMLに対応し、教育系・技術系ブログで本格的な数式を扱う際に便利です。 - コメント数ブロック / コメントリンクブロック
→ 投稿のコメント数やコメントへのリンクを表示するブロック。
メタ情報部分や、ブログ一覧・記事上部に「コメント○件」を出したい場合に活用できます。
これらがコアに入ったことで、従来プラグイン頼りだった部分も、標準機能だけで実現しやすくなりました。
パフォーマンスの向上ポイント
WordPress 6.9では、内部的なパフォーマンス改善がかなり多く行われています。主なポイントは次の通りです。
CSSとスクリプトの読み込み最適化
- クラシックテーマでは、ブロック用CSSを「必要なものだけ」に絞って読み込むようになり、不要なCSSを削減
- ブロックテーマでは、テーマスタイルの自動ミニファイ(圧縮)が導入され、CSSファイルが軽量化
- 絵文字スクリプトなど、重要度の低いJavaScriptの読み込み優先度が下げられ、フッター側に移動
結果として、
- ファーストビューの表示が速くなる
- LCP(Largest Contentful Paint)指標の改善が期待できる
- 体感速度・SEOともにプラスに働く
といったメリットがあります。
クエリ・キャッシュ・Cronなど内部処理の改善
- データベースクエリの効率化・キャッシュキーの見直しにより、クエリ性能を改善
- Cron(定期実行タスク)の実行タイミングが見直され、ページ読み込み時の負荷を軽減
- RSSフィード生成や文字列処理、多言語環境での処理が最適化され、安定性アップ
特に、
- アクセス数が増え始めたサイト
- キャッシュプラグインやオブジェクトキャッシュを使っているサイト
などでは、6.9にアップデートすることで“同じサーバーでも快適さが増す”ケースが期待できます。
セキュリティ強化と互換性のポイント
パスワードハッシュの強化(bcrypt)
6.8以降、WordPressはパスワード保存に強度の高いbcryptハッシュを採用しています。6.9でもこの方式が継続されています。
- 以前のハッシュ方式と比べて、総当たり攻撃への耐性が向上
- ユーザーがログインしたタイミングなどで、順次bcryptに再ハッシュされていく
サイト運営者側で特別な操作をする必要はなく、WordPressコアのアップデートだけでパスワード保護が強化される点がポイントです。
PHP 8.5対応と推奨環境
WordPress 6.9では、最新のPHP 8.5への対応が進み、既知の非互換・警告が解消されています。
- 公式の最低要件は依然としてPHP 7.4以上ですが、実際の運用ではPHP 8.x系が推奨
- 新しいPHPバージョンは、速度・メモリ効率・セキュリティの面で有利
レンタルサーバー側のPHPバージョンをまだ7系にしている場合は、
- PHP 8.1〜8.3あたりへのアップグレード
- WordPress 6.9+PHP 8.xの組み合わせでのテスト
を、このタイミングで検討するとよいでしょう。
プラグイン・テーマ互換性への注意
コア側の改善により、以下の点に注意が必要です。
- 低レベルなクエリキャッシュや独自のキャッシュ実装をしているプラグインは、6.9対応版へのアップデートが望ましい
- 新API(Abilities APIなど)を活用するプラグインは、今後増えていくことが予想される
ユーザーとしては、
- 「使っているプラグインが最新バージョンか」
- 「6.9対応が明記されているか」
を最低限チェックしてから本番環境をアップデートするのがおすすめです。
ユーザー向け:実際の活用シナリオ
チーム運営・共同編集での活用
複数人で運営しているサイトなら、
- ノート機能:
→ ライターが書いた記事に、編集者がブロック単位でコメント
→ デザイナーが調整したい箇所をピンポイントで指摘 - 非表示ブロック:
→ キャンペーン用セクションを事前に仕込んでおき、開始日に表示ON
→ 終了後は削除せず「非表示」にして、次回の土台にする
といった形で、WordPressだけで完結するワークフローを組めるようになります。
デザイン・サイト構成の改善
フルサイト編集とテンプレート管理の強化により、
- トップページのデザイン案を複数作っておき、ABテスト的に切り替え
- 固定ページ用テンプレート(お問い合わせ、サービスページなど)を用途別に作り分け
- テーマを変えても、自作テンプレートを引き継いで再利用
といった、より“プロっぽい”テンプレート運用が現実的になりました。
コマンドパレットで管理作業を効率化
コマンドパレット(Win: Ctrl+K / Mac: ⌘+K)を使うと、
- 任意の画面から「新規投稿」「ユーザー追加」などの操作にすぐ飛べる
- メニューを何階層もたどる手間を省ける
ため、“管理画面を触る時間”が長いユーザーほど、効率化の恩恵が大きい機能です。
アップデート前にチェックしておきたいこと
最後に、6.9へアップデートする前に確認しておきたい項目をチェックリスト形式でまとめます。
【アップデート前チェックリスト】
- サイト全体のバックアップ取得
- データベース(MySQLなど)
- wp-content(テーマ・プラグイン・アップロードファイル)
- ステージング環境でのテスト
- 本番と同等構成のテスト環境で6.9に更新し、表示崩れやエラーが出ないか確認
- プラグイン・テーマの更新
- 利用中のプラグインが最新かどうか
- テーマ(特に子テーマを使っている場合)の更新状況
- PHPバージョンの確認
- サーバーのPHPが7系の場合、8系への移行を検討
- PHP 8系に切り替える前にテスト環境で動作確認
- キャッシュ・セキュリティプラグインの動作確認
- アップデート後にキャッシュを一度クリア
- ログイン周りやフォーム送信などが問題なく動くかテスト
これらを押さえておけば、6.9への移行トラブルをかなり減らせます。
まとめ:WordPress 6.9は「運用を楽にするアップデート」
WordPress 6.9「Gene」は、
- ブロックエディターの細かな使い勝手をじっくり磨き込み
- フルサイト編集のテンプレート運用を一気に実用レベルまで引き上げ
- パフォーマンスとセキュリティの土台をしっかり固めた
「地味だけど、毎日の運用が確実に楽になる」タイプのアップデートです。
とくに、
- ブロックエディターをメインで使っている
- 複数人でサイトを運営している
- デザインやテンプレートを自分でいじることが多い
といったユーザーにとっては、メリットの大きいバージョンです。
この記事をベースに、
- 自分のサイトでどの機能が活かせそうか
- どのタイミングでアップデートするか
- アップデートと合わせてPHPやプラグイン環境も見直すか
などを検討してみてください。
6.9をしっかり活用することで、WordPressサイト運営のレベルを一段引き上げられます。
参考資料
- WordPress.org News: WordPress 6.9 “Gene”wordpress.org
- Make WordPress Core Blog: WordPress 6.9 Beta 1 発表make.wordpress.orgほか
- Make WordPress Core Blog: WordPress 6.9 Field Guidemake.wordpress.orgほか
- WordPress.com Blog: WordPress 6.9: What’s New for Bloggers, Creators, and Site Ownerswordpress.com
- Kinstaブログ: WordPress 6.9の新機能まとめkinsta.com
- WordPress.org 日本語: WordPress 6.9 テストガイドja.wordpress.orgほか
- WordPress.org 開発者ノート: bcryptハッシュへの移行 (WordPress 6.8)make.wordpress.org